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38日目 決戦

2005年3月20日

定刻通り、6時に宿を出発し、84番札所屋島寺へ向かう。

いつもだったら出発10分ほど前に起床し慌てて支度をする僕も、この日ばかりは5時前には目を覚ましてしまった。やはり、結願を前にドキドキしているのかしら…。まあ「結願だ!結願だ!」と騒ぎたてても、今日中に到着できるか分からないんだけど。

予想外に急な坂道をとぼとぼ登り、一番に納経をすませる。いよいよラスト4つ。納経帳の残りページを見てちょっと寂しくなる。

と、境内を出たところで一人の車遍路のおじさんに声をかけられた。

『いやあ、私も昨年歩いたんだよ。いよいよ結願やな!』

そう言うと、おじさんは僕たちにペットボトルのお茶をお接待してくれた。

『歩いたことがあると、やはり歩き遍路の気持ちがよくわかってねえ。見かけるとお接待しなくちゃって気になるもんよ』

明日には、僕たちもそんな気持ちになっているのだろうか。

次の85番札所八栗寺へは、標高300mの屋島山頂から一気に街まで下る。この急坂がとんでもなかった。もう坂というよりか、道なき斜面を滑り落ちる感じ。屋島といえば『平家物語』の屋島の合戦を思い浮かべるけれど、この坂はまるで、一の谷の合戦で源○経が馬で駆け下りた、あの鵯越えのよう。だって直角だもん、坂が。

街中をしばらく歩くと、再び急な登り坂が姿を現す。地図を見ると、85番札所まではケーブルカーも用意されているらしい。要するにそれくらい急な坂を登らなくてはならないのである。

『ああ!もう、最後の最後まで!』

「ホント、バカじゃないのか…」

最終日にもなっても愚痴満載。悟ってねえなあ…。

「そういえば、ホー○ージュン、『すいすい登れる!』とかいってたな」

再び登場、『四国遍路バックパッキング』の著者、アウトドアの達人ホー○ージュン。しかし、先ほどの屋島への登り坂と言い、八栗寺への登り坂と言い、ここまで急な坂をすいすい登れるとは、さすがアウトドアの達j

『そう言えば、屋島もここも、ケーブルカーあるよな』

「う、うん」

『あれ使えば楽に登れるよな…』

「あ…」

彼、乗ったんだな…。

さすが、66番雲辺寺への大したことのない坂道で泣きべそをかいた、『アウトドアの達人()』

そんな『もやしっ子ホー○ー』にはもう関わらないことにして、85番札所で納経を済ませた僕らは先を急ぐ。

途中で買った草もちをパクつきながら歩いていると、明日からも、1日中ただのんびりと歩き続けるこの生活が、当然のように続いていく気がするから困る。今までは、ただただ結願することだけを夢見て黙々と歩いてきたのに、ここにきて明らかに結願したくなくなってきていた。昨日まではそうでもなかったんだけどなあ。

まだまだ旅を続けていたい、そんな気持ちでいっぱいだった。

しかし、現実とは非情なもので、1時間もすると86番札所志度寺に到着してしまう。85番札所からは5キロの道のり。徳島を歩いていたころは、5キロほどの道のりでもヒイヒイいって言って歩いていたのに逞しくなったもんだ。

広大な敷地を持つ85番札所を打ち、ついにラスト2。87番札所長尾寺まで、およそ8キロの道のりを歩いて行く。

『なに!?もうあと2キロ?』

「なんか今日、距離短く感じるんだけど…」

ふと気づくと、もう87番札所は目前。明らかに時の流れがいつもより早い気がする。

『旅を終わらせたくない』

そう強く思えば思うほど、旅の終わりはどんどん僕たちに近づいてくる。

結局、午前中のうちに行程の半分以上を踏破。87札所近くのラーメン屋で昼食をとったのち、13時ちょっと過ぎ、ゴール目指して最後の道のりを歩き始めた。

86番札所 志度寺

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